第886話・・・嫁こ
2008年 05月 26日
”詩”はあまり得意でないけど、読んだらオオォ~・・・っと!とぐいぐい引き込まれた。
沢山いいのがあったけど、例えば以前にも書いた”祝婚詩”など・・・。
今回はその中から福島県出身の詩人、斉藤庸一と言う人が書いた”嫁こ”
を紹介してみようと思う。
理由は?
僕は26歳で女子バレーの監督になったが、この時の選手たちは
何故か懐かしいのだ。当然今でも交流は深い。
当時から「いい母ちゃんになるんや!」と呪文のように唱えていたので、
この詩を読んで当時が思い出されたからである。
こんなイメージの子が随分育ったなぁ~と!
あまりにも自分が求めていた女性像にそっくり!
もちろん我妻もこの詩の通りである。
真の教育者とは、ローソクに火を点火するように
人間の魂に自覚の火をつける人と言われるが、
よい詩集もまたこれに近いものがあるような気がした。
では、どうぞ!
”嫁こ” 作:斉藤庸一 ポケット詩集Ⅲ <童話社>
たった一言もうしあげやんす
おらに嫁さま世話してくれるだば
どうかこういう嫁こをお願いもうしあげやす
気をもたせたり 気を引いたり
さわらせたり 見せぺしたり
喋ってばかりでハイカラが好きは御免でやす
丈夫な体でやや子を産める腰をもち
こどもがごっくごっくのめるおっぱいもち
手首まぁるく 目は子供っぽく
遠いところから おらを見ていて
おらが目ぇやると 目をふせてしまう
がんばりできかなくて押しが強くて
それを芯にひそめて 口には出さず
一表の米を背負い
あいさついい声で おじぎつつましく
ボロを着てても 色っぽく
馬にまたがり野をかけ草刈場にいけば
汗かいて 三束(さんたば)より五束(ごたば)刈り
つみとった一輪の桔梗(ききょう)をお先祖様に上げ
としよりにやさしく 己にきつく
誠にはや申しわけごぜえやせんが
たった一言がなかなか語りやしたが
どうかお願い申し上げやす
いい嫁こを おたのみしやす。