第2645話・・・元監督・元教頭の視点(59)
2016年 09月 12日
小さな問題が・・・
私が自然体バレーを中心軸にしたのは、勝てなかったことよりも、チーム内の人間関係の修羅場にたくさん出会ったことがあげられます。
チーム最後となる公式戦の前に6年生の保護者たちが私の所に来て、「明日の試合は6年生を使ってほしい。勝っても負けてもいいから6年生で試合を終えたい。そうでなければ、明日の試合はボイコットする」と言われたことがありました。
ここに来て、どうしてそんなことを言うの? 地獄に突き落とされました。しかし、指導力も信頼もなかった当時の自分は、保護者の言うことを聞いてしまいました。
試合はあっさりと敗退。試合中、保護者の応援が6年生と5年生以下の二つに分かれるという異常な光景がありました。
試合後、保護者の所へ挨拶に行くと、6年生の保護者は自分の娘を泣きながら抱きしめています。しかし、そこに注がれる冷やかな周囲の視線・・・。空中分解したチームの末路でした。
私はこのとき、もうバレー指導はやめようと思いました。
けど、どうしてこうなったのか。全ては指導技術と同じく未熟な自分の指導理念のなさが招いた結果だったのです。
悲惨な末路に至る過程には、いくつもの悪い前兆がありました。
例えば、
①練習試合での送迎車の配車では、あそこのうちの子は乗せた
くないなどの声があがる。
②ユニフォームを新調するが一部の親だけでデザイン等を勝手
に決めて注文。
③監督の選手起用・采配へ保護者が口を挟む。
こういった変化に場当たり的な対処方法しかなしえなかった自分がいました。
「どうやったら、選手だけでなく、保護者の思いも『心ひとつ』にすることができるのか?」
そんな思いを強烈に抱いたのを覚えています。
そんな時に出会ったのが自然体バレーです。
かつての私と同じように大切な試合を前にチーム内の不協和音で悩んでいる監督さんもたくさんいるはずです。けど、その辛い思いは必ずやこれからプラスとなって生かされていきます。
指導をやめないでがんばってください。
少しずつ、ほんの少しずつでいいですから、がんばってみてください。そしたら、ずっとがんばれます。
そしてそんな時こそ、草野先生の発してきた言葉に耳を傾けてください。きっと乗り越えられるはずです。