第2620話・・・元監督・現教頭の視点(43)
2016年 05月 27日
【最後の場面を迎える時に 〜人生の通過点です〜】
高体連の地区予選の真っ最中ですね。また、
来月になると中体連も始まってきます。
まければ引退となる3年生にとっては、最後の公式戦となります。
緊張感が漂う雰囲気の中で練習している皆さんがほとんどだと思います。
私は最後になるかもしれない大会を迎えるとき、初期のころは、妙に優しい言葉をかけたり、また、いつもと違った練習を取り入れたりして、「劇的な変化」をチームに最後に起こそうとしていました。
しかし、最後の土壇場に来て、「劇的変化」は起こりませんでした。
それから、いつも通りの言葉をかけて、いつもどおりの練習をして、コートに送りだそうと決めました。そして、草野先生に出会ってからは、こんな言葉をよく言っていました。
「この試合が6年生にとっては最後になるかもしれないが、だからといって悲壮感を漂わせてバレーをするのはよそう。みんなのバレーは、中学校・高校へとつづく。そして、大人になってからもバレーはできる。長い人生の通過点。次の場面につながっている。終わりはまた次の場面への始まり。小学校生活最後となる場面で、何かに気付いてくれればそれでいい。例えば、バレーがやっぱり自分は大好だとか、仲間の大切さに気付いたとか、家族の支えがあったからとか、親が働いているからバレーができていたんだ。お金の有難み、両親の存在の大きさがわかったなど、何でもいいから学んでください」
あとこんなこともよく言っていました。
「緊張できる場面を経験させてもらっていることを幸せだと思ってください。緊張するということは、今まで努力したことの裏返しです」
自分が緊張する場面を迎えるときにこそ、見えなかったことが見えるようになることってあると思います。
私たち指導者もそうですね。戦術、フォーメーションなどに目を奪われている時に、やめないでずっとボール拾いをしてくれた選手、
後輩たち・・・。そんな選手のことが愛おしく見えてくると思います。
自分は一人ではない、支えられている、感謝・・・、こんな視点があればいい終わり方ができるんではないでしょうか?
今日、体育館に行く前に指導者のみなさんは、鏡の前に立って自分の表情を見てください。重苦しい雰囲気が漂っていませんか?妙に目つきがギラギラしていませんか?
にっこり笑って、心に余裕をもって、体育館に出かけてください。
さあ、がんばって、子どもたちとの一瞬一瞬の時間を大切に練習してきてください。
そうすれば、指導者の皆さんも感じるはずです。バレーは改めてすばらしいことを・・・。そして、そのバレーを通して、子どもたちは確実に成長していることを・・・・。もっともっとバレーと子どもたちのことが好きになるはずです。