第2575話・・・元監督・現教頭の視点(26)
2016年 01月 27日
【保護者会会長という、辛さと向き合う強い女性】
小学校バレーで大きなウェイトを占めるのが、保護者会の運営です。
私も保護者会に攻撃されたこともあれば、反対に救われたこともあります。
しかし、保護者会の役割は、対指導者ということだけではありません。
保護者会を一つにまとめると言う永遠の難題が待ち受けています。
①あの親と一緒の応援をするのは嫌と言って、
応援団が第一、 第 二と二つあるチーム
⇒同じチームなのに違うTシャツを着て応援する親たち
②あの子はうちの車には乗せたくないなど、
親の好き嫌いが子どもにまで伝わる
③醜い派閥争い(次期会長は誰にするか、ソックスの色一つ
決めるのにまとまらない、宿泊先の選定なども・・・・)
指導していると、あり得ないぐらいの親同士のバカげた確執の話を聞きました。もう、ドロドロとしたドラマのような人間関係の世界。「渡る世間は鬼ばかり」、そんな感じです。
私も親の心を一つにすることに苦労していた時代もありました。最初の保護者会では、草野先生の人間学の話を必ず取り入れていました。「ハリネズミの話」は、何回も何回も繰り返し伝えました。「人間関係の距離感の話」「味方に敵をつくらないことの大切さ」など、それはもう繰り返し繰り返し伝えてきました。
それに伴い、チームがある程度、強くなると、保護者会のことであまり悩むことは少なくなりました。指導に集中できる環境を与えてもらいました。
しかし、後から、話を聞くと、そこには、すさまじい人間関係のドラマがあることを知り、驚いたものです。私の出会ったすばらしい女性の保護者会会長から学んだことはたくさんあります。そんな学びをふりかえってみると・・・・
①「先生、あの親はこうなんですよ」と私に逐一、報告して来る人
もいました。反対に全くない人もいます。そんな女性に、聞いて
みました。「どうして文句とか言わないのですか?」と。
「他人に感情を左右されないことです」
なんてかっこいい一言なのか。それに比べて、監督はいつも他
人に感情を左右されている・・・・情けないとよく思いました。
②いつまでも愚痴や文句を言わない。
私なんかは、家に帰ると、よく愚痴っていました。けど、メンタル
の強い女性会長は、あまり、文句・愚痴を言いませんでした。
「腹を立てていて余計なエネルギーを使わない」
こんなことを言っていました。
「押しても引いてもダメなときは、待つ」、こんな感じでした。
③過去の美談、自慢に浸らない
男の指導者って、けっこう、「あの時代のチームは、みんな輝い
ていた」「あの子たちの心は美しかった」なんて言葉をよく言いま
す。けど、それは自分一人の思い込みがほとんどで、後から聞
くと、とんでもないことがあったり、「監督、大嫌い」と思っていた
なんてケースがよくあります。自分だけが勝手にそう信じていた
という、おめでたいケースがほとんどです。
しかし、女性って、「昔はこうだった」とあまり過去にしがみつきま
せんね。多分、過去にしがみついていても何も始まらないという
ことをしっているんでしょうね。
今、大変な思いをしている保護者会会長という大役をしてくだ
さっているお母さん方へ。
男の指導者は弱いです。強がっていますが、孤独に弱く、もの
すごく寂しがり屋です。私の上手だったなあと思う会長さんは、
とにかく、保護者会の中で「先生は、ものすごく、いっぱいいっぱ
いになるタイプ。だから、ああいう監督に余計な心配をかける
と、本当に試合にならなくなるからね。だから、私たちは、デーン
として構えてましょう」と言っていたのを後から聞きました。
指導者の器の小ささから、保護者会をまとめる姿勢・・・・。
お見事です。
こんなふうに、指導者を手のひらで乗せられるような保護者
会になると、うまくいっていたように思います。