第2548話・・・元監督・現教頭の視点(16)
2015年 12月 09日
【弱い自分と向き合う】
監督とは、ある意味、自己主張の強い人たちの集まりです。だから、自分を強く・大きく見せる言動を言うことが多いものです。
「先週の練習試合で○○相手に18点まで競り合った」
「□□相手にセットをとった」など
大会直前から本番までこんな話がよく飛び交います。話の内容だけでなく、相手に対して、見下した態度をとる指導者もいました。私なんかも初期の頃は、よくターゲットにされていました。
「あの監督は、バレーを知らない」
「あのフォーメーションは素人以下だ」
こんなことをよく言われました。けど、事実、バレーを知らないのですから言われてもしょうがありません。そういう人たちを見て、逆に「いつか見返したい」とエネルギーに変えたものです。反対に自分がトップをとったら、バレーを知らない監督さんなどに声をかけてやれる人になりたいと思ったものです。
けど、私も器が小さく、弱い人間ですので、勝負のかかった試合等は、もう、生きた心地がしませんでした。試合が嫌で嫌でしょうがなかった時期がありました。そういうときは、他の監督さんに混じって、評論家になって、あちこちのチームや指導者の噂話に参加したくもなりました。けど、ここで気が付きました。噂話をしている監督さんたちも内心は、怖くて怖くてたまらないんだ。だから、少しでも気分を落ち着かせるために、自分より格下の対象物に目を向けているんだと・・・・・・。ここに気づいことは本当に幸せでした。
そして、草野先生からは「試合会場でやるべきこと」を教わりました。挨拶、準備の手伝い、関係者への感謝などです。
しかし、勝てなくて苦しんでいた初期の自分は、次のような思いで心が満ち溢れていました。
①自分がよく思われたい
②人から「すごい」と言われたい
③認められたい・ほめられたい・記録をつくりたい など
もうナルシスト丸出しの醜い人間になっていました。ナルシストをネットで調べてみると、次のような文言で説明されていました。
「自分をイケてる、すごいと思うあまりに自信過剰で自己中が多いと言われている。自分の過去の栄光(武勇伝)を語ったり、とにかく自分のことを話したくてたまらない人」
思わず笑ってしまいました。過去の自分もそうだし、これってバレー界にたくさんいる人たちだと・・・・。大会などで会うと武勇伝を聞いてもいないのに語ってくる人たちってたくさんいませんか?
「俺はかつて○○連勝した」
「○○高校のエースを育てたのは俺だ」
「コンビを使い始めたのは、地区では俺が一番先だ」
「○○高校の先生は俺と仲がよい」
試合+人脈+戦術武勇伝のオンパレードの人たちは、まだ、バレー界にはたくさんいます。
そして、私のようにバレー素人なのに部活顧問をもたされ、勝てなくて、地獄を見ている先生方もたくさんいるのも事実です。そして、これから自分の力ででチームを強くして、のしあがっていくという決意を秘めている監督さんもいらしゃるはずです。その先生たちに伝えたいこと、それは
「自分の弱さ・器の小ささと正対すること」
自分を大きく見せようとしないで、
相手への「感謝・謙虚・誠実」のベクトル路線にするのです。
そのために、草野先生の書物・ブログ、講習会等で発せられる言葉を一字一句頭に叩き込むつもりで勉強してください。草野先生は、普段は、柔らかい優しい言葉で包まれた表現が多いです。しかし、時々、ナイフのような研ぎ澄まされた言葉で我々の心に呼び掛けてくることがあります。心にぐさっとささる言葉です。それは、その時の自分の弱さという傷口に刺さっているのです。
草野先生は、人一倍、土壇場・修羅場・正念場を渡り歩いてきた人です。自分の弱さに正対して、いろいろな壁を打ち破って自然体バレーというものを築きあげました。
本気で勝ちたい、いつか自分も・・・、いろんな苦しみを背負って指導している指導者の皆さん、自分の弱さに正対することで、自然体の教えがスーと入ってきます。そのことに気づいてください。弱さに正対できれば、自然体バレーは力強い味方となって支えてくれます。
・・・・・・追記(草野)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
自分を大きく見せる・・・いるいる・・・!
確かに多いですね。
爪先立ちしている姿ですね。
自分を実際よりも大きく見せようとしている姿が見て取れます。まるで、やんちゃが授業中に黒板消しを投げつけている姿です。僕は実際よりも大きくなければいけない、皆にもそのことを証明するかのごとくですね。そういえば、自分の名刺を何種類も持っている人とか、裏面に肩書きをいっぱい書き込んでいる名刺を出す人とかいますね。無理して持たなきゃいいのにね。名刺をもたなくても不自由を感じたことがないけどね。まあ仕事上は最低限必要な時もあったけど。講演などで自己紹介だけでベラベラ、頼まれもしないことを30分も喋る人もいますね。これも必要最小限で十分。僕はどこに行っても「大阪のおっちゃんです」と言うと、それだけでクスクス笑ってくれるので”つかみ”バッチリです。(笑)