第2545話・・・元監督・現教頭の視点(14)
2015年 12月 04日
団塊の世代の大量退職に伴い、学校現場では若手教師がたくさん採用されている。今の教育現場の喫緊の課題は、この若手教師の育成が急務である。
授業力、学級経営、生徒指導、保護者対応と多岐にわたっているが、教師の最大の生命線は、「授業力」である。
この授業力に関して、伸びる教師と伸び悩む教師の二パターンに分かれる。今、教師に求められている授業力は、「ごはん・みそ汁」型授業というものである。
私が教師になったころ、研究授業といえば、「ごちそう型」「劇場型」と呼ばれるものであった。研究授業の一時間に特化した授業が多く、その一時間のために華美な教材や演出に凝ったものである。
しかし、今は、日常の授業の充実が大前提である。板書、発問、指示、説明といった教師の発する言葉の吟味、ICT機器の導入、授業-家庭学習-朝学習との連動という学びの連続性など、「凡事徹底」というキーワードがテーマになっている。
さて、まず、授業がうまくならない教師に共通していることをあげてみると
①マニュアル・「How to~」関係の本やDVDが大好き
②授業の小さなネタは持っている。上辺だけの知識も豊富
③ICT機器・デジタル教科書など最先端の機器大好き
④結果がすぐに出る指導法を望む
⑤人生的に失敗経験が少ない
反対に授業がうまくなる教師については
①民間会社に勤務経験ありなど、回り道をした教師
②マニュアルよりも目の前の子供たちの児童理解を大切にする。
③教師の発する言葉を大切にする。発問・指示・説明という授業
の根幹に視点をあてている。
④スポーツ、音楽、美術など何かに打ち込み、子どもたちに実演
を見せれる特技を一つ持っている。
⑤最先端の教育機器を取り入れながらも、言葉や板書といった
授業の基礎基本をしっかりと学ぼうとしている。
このような違いが見られます。そして、上の二つのパターンの教師に決定的な差があらわれるのが、「イレギュラーへの対応』です。
今の教育現場では、発達障害、ネグレクト、モンスターペアレント、クレーム処理、貧困など様々な要因が複雑にからみあった問題の対応に迫られます。
授業がうまくできない教師は、当然、イレギュラーな対応ができません。初期対応を誤り、事態を悪化させてしまうことがほとんどです。
このようなパターンというのは、
バレーの指導にもあてはまります。
自然体バレーの練習メニューばかりを追い求めて、その部分だけに目を向ける指導者は、チームを強くすることはできないと思います。
自然体バレーの考え方や本質をいかに理解するか?
それから指導者の発する言葉にこだわり、言葉を洗練させた指導者が練習メニューを取り入れた時に、指導効果は上がるのです。
私が見てきた自然体バレーに参加している受講生の中でも、練習メニュだけを取りいれば、チームは強くなるという間違った考え方に染まっている人もたくさんいました。「練習メニューおたく」みたいなタイプです。
本質をいかに理解するか? そのあたりのことに気づけば、今より、もっともっと教え方がわかりやすくなり、子どもたちも自分も成長できる指導者へと成長していくと思います。
練習メニューやHow to~ だけでなく、その背後にある土台に目を向けて指導していけば、チームののびしろももっと大きくなると思います。