第2539話・・・元監督・現教頭の視点(10)
2015年 11月 24日
【同じ女性の視点】
娘が生まれた時に私は転勤して、何だかよくわからないうちに監督をすることになった。うちは夫婦共働きで女房も教師である。最初は、監督をすることに猛烈に反対していた。少年団活動をすることで、家事への協力ができなくなることへの不満だった。
しかし、私が勝てなくて地獄を見ていたころ、かわいそうと思ったのか、徐々に気遣ってくれるようになった。夜遅くまでテレビの前でDVDを見ながら練習メニューの研究に明け暮れる日々・・・。苦しんで、もがいているところを見て、私の一番の応援団となってくれた。
私は監督時代、妻からのアドバイスに何度も助けられた。
「小学生といっても女は怖い。
妬みと嫉妬は子どもでも大人でも同じ。気をつけないと・・・・」
「誰かが褒められたりすることにものすごく敏感だから気をつけないと。誰に対しても同じように接しておかないと足元を救われるよ」
「女の子は、ジェットコースターみたいな乗り物が好きでしょう。怒られたり、優しくされたり、楽しませてくれたりと、いろいろな引き出しがないとまとまらないよ」
「監督から見て、信頼できる子というのは意外と仲間からはそうでもない子が多い。そういう子がキャプテンになると結構やめていく子がいるよ」
現役時代、いかにチームの女の子の心を一つにするか。そういったことに一番労力をかけていました。心一つにならなければ、いかに練習メニューを工夫しても全く無駄になることがたくさんありました。
私が監督時代に学んだこと、それは
「悪いことは起こる前に小さな変化が必ずあるということ。その小さな変化に気づけるかどうかが指導者にとっては大切だ」
ということでした。
大切な試合では、必ず、女房と娘の姿がありました。親たちの応援にまじって、必死に声を出してくれている姿をベンチで見ていて、何度も力をもらいました。
また、保護者も「先生の奥さんが応援してくれる」ということで、とても好意的に受け入れてくれました。転勤する時には、私よりも女房へ感謝の思いを伝えていました。
「奥さんがいたから、先生もバレーに全身全霊を傾けることができた。全ては奥さんが嫌な顔一つしないで、バレーを先生にやらせてくれたから」こんなことをよく言っていました。
私は、草野先生の奥さんが亡くなられて、先生がその思いを綴った文章を読んだ時に、なぜ、先生が日本一をつかむことができたのかが少しわかるような気がしました。
一番近くに最も信頼できて、強い女性がいたから、勝負できていたのだと・・・。家庭を粗末にし、妻を味方にできない男からは女性を束ねていく魅力はないということを教えてもらいました。
指導者の中には、「うちは家庭の協力が全くなくてさあ」
「うちなんか、父親ぬきで、勝手に楽しんでいるよ」
と自虐的に話す監督さんもいます。
けど、
そこも変えていくのが自然体バレーなんだと自分では思っています。
家庭を犠牲にしている・・・・、よく聞く言葉ですが、「家族が応援してくれる」に変わっていったら、今までよりももっといい指導ができるのではないかと思うのです。
そして、奥さんの言うことにも耳を傾けられるようになると、
「体罰」にたよる指導は絶対にしないと思うのです。
女性は「暴力」、それも無抵抗の人間への理不尽な暴力は、絶対に許すはずがないからです。
同じ女性の視点から自分の指導をふりかえってみてはどうでしようか?
【追記(草野)】
しかし、なぜか、女子指導者は
女は女の心がわかるので妥協しない!
一方男性指導者は
女の涙に騙されやすい!
僕なんか、コロリンでした。
もうひとつ
腕組みして足組んで、かん高い声で吠えているのは
男性、女性、どちらが多いでしょうかね〜?
気の弱い僕なんか、もう、その場から逃げ出したいほどでした。
子供達はこわ〜いだろうなと思ったものです。
それと、これは今でもですが
講習会などに参加して、主催者や講師に
挨拶できないのは大概女性顧問ですね。
私なんか、90%そうです(泣)
なぜでしょうか?