第2538話・・・元監督・現教頭の視点(9)
2015年 11月 19日
【解説者になるな、解決者になれ❗️】
タイトルの言葉は、草野先生が発信していた言葉です。
私にとって忘れられないフレーズです。
バレー指導を始めたころ、こんな話をよく耳にしました。
「うちのチームはハートが弱いから勝てないんだ」
「大事な場面でミスをする、勝負弱い選手ばかりだ」
試合会場で監督さんたちに会うと、よくこんな話を聞きまきした。
どうしてハートが弱いんだろう。みんな自分のチームの解説をしているばかり・・・。コーチングとは何か? そんなことをぼんやりと考えていました。そして、最短距離で勝つ方法を考えました。
○恐怖で人をおさえつける
○この指導では限界がくるし、自分もつぶれてしまう
○誰よりもバレーを勉強しよう
○練習メニューは勉強すれば何とかなりそうだ
○自分は「心」を鍛えることを勉強しよう
○あとは正しいトレーニング理論で理論武装しよう(D2ライン、股
関節の可動域、0ポジションなど)
恐怖で人を動かすのではなく、人を育てるためには尊敬されることが必要ではないか。そのためには解説者ではなく、解決者にならなくては・・・。
バレーに本気で向き合おうとしたとき、こんな思いを抱いたのを覚えています。また、草野先生の「相手と同じ練習をするな。量が多い方が勝つから」という言葉も大きなヒントになりました。例えば、こんなことをやっていました。
①夏の練習では、練習終了後、プールに入っていた。ウォーキン
グ、水泳などは、疲労回復や筋肉のクールダウンに役立った。
⇒選手のけがや故障とはほとんど無縁だった
②特にプールで水球を真似したトレーニングを取り入れた。瞬発
力と筋力アップに大きな効果があった。
③冬場のクロスカントリー⇒持久力とバランス系の筋力に大きな効果。
④イメージトレーニングのCDを購入して、「自律訓練法」を習得さ
せた。試合前の緊張感のリラクゼージョンに大きな効果。
⑤栄養教諭の先生を招いて食育講座を開催。疲労がたまってい
る時の食事、試合直前期の食事メニュー等、親にも一緒に聞い
てもらった。
⑥整体師の先生を招いてマッサージ講座。子どもたち同士、家に
帰ってから親と一緒にやるなどしてコンディショニングを整えた。
⑦様々なゲストティチャ-の活用。ダンスの先生を招いて、アップ
に取り入れた入りした。
このようにバレーとは違ったスポーツ、様々なアプローチを試み
ることで効果が上がりました。この指導のペースには、草野先生
の実業団時代の指導からヒントを受けました。「最初は合唱指
導から始まった」「花嫁修業も兼ねて、料理教室を行った」、
確かこんなことをされていたという記憶があるのですが・・。
私は監督時代、徹底的にいいものは、パクリました。そのほとんどは草野先生のメニューであり、考え方でした。パクリながらやっていくと、何となく自分のチームにあったメニューなんかが浮かんできました。
体罰と暴言に走らないためにどうすればいいか?
私なりの結論ですが、信頼できる指導者の考え方や指導法を徹底的にパクルことが必要だと思います。ちょっといいなあと思って「かじる」のではなく、言い方が悪いですが「パクルのを極める」のです。
草野先生の練習メニューとブログを片っ端から読みあさったことが今の自分をつくっていただいたと思っています。パクリから自分のオリジナリティーが生まれます。そうすれば、体育館の片隅で「ああでもない、こうでもない」と解説する指導者には絶対になりません。
最後に、私が見てきた解説者タイプの指導者で、常にいいチームをつくっている指導者はいませんでした。みんな、いつも負けてばかりでした。「負けて⇒解説」の繰り返しでした。