第2536話・・・元監督・現教頭の視点(7)
2015年 11月 17日
【独裁者にするのは、保護者にも責任が・】
体罰をする指導者は、周囲からカリスマとか呼ばれている指導者が多い。指導実績は申し分ない。しかし、指導スタイルは、ビンタとワンマンという名のしごきがメイン・・・。初めて練習を見た時は、その異様な光景に言葉を失ったものです。
けど、そういった体罰指導者の取り巻きこそ、私は要注意だと思っていました。わが子がビンタされても、「どんどんやってもらえ」みたいなことを言う保護者っていませんか?
体罰指導者の周りには、一部のマニアックな保護者の存在が支えていると言ってもよいでしょう。私は現役時代、こういった親のほうがたちが悪いと思う時もありました。
私が全国大会をねらうチーム同士の強化練習会に参加した時です。セットを落とすと、パチンパチンとビンタが始まります。肩を押して、壁際までどつきまわす指導者もいます。けど、私が嫌だったのは、さんざん監督に暴言+暴力のフルコースを受けたにもかかわらず、その子の親が出てきて、また、泣かすというシーンも何度も見ました。監督と母親とのダブル攻撃です。こういったシーンって、見たことありませんか?
そして、そういった母親に限って、チームの保護者会の重要なポジションを占めています。
「叩かれなきゃ、勝てないの。叩かれて叩かれてバレーボールはうまくなっていくものなの」と・・・・。そういった親の目を見ると、私は思わず、「病んでいる」と思っていました。
そして、そういった親のいるチームと一緒に強化合宿をすることがありました。びっくりするを通り越して、笑ってしまいました。
①晩御飯の時に監督が座ると、ビールとお酒を母親がつぐ。
②夜のミーティングをしている間に、母親たちが二次会の用意。
大きなクーラーボックスに大量のお酒とつまみ。
③飲み会は、深夜まで続きます。だいたい夜中の一時までは当
たり前。
④子どもは寝ているが、指導者と親たちはどんちゃん騒ぎ。
⑤そういったチームの親の応援は、過激。
ここのチームは、夜のスナックかよ~と思ってしまいました。
こんな合宿が3日間ぐらい続くのです。私もそのチームと一緒にいて、一番感じたことは、親に品がないことでした。勝てばなんでもいいみたいな雰囲気なのです。「勝たせてくれるなら、叩かれても何をされても構わない」、こんなことを声高々に言います。
勝つことでチームが自分の娘が注目されること、目立つ存在になることに酔ってしまっているのです。そして、そういったチームを支えているのが、バレー名門校に進んだOBの存在です。OBとその親たちが来ると、もう、現役の子どもと親たちは羨望のまなざし・・・・。「○○高校に特待生で入ったなんて、すごい」と・・・。
小学校のスポーツ界を変えるためには、指導者だけの問題ではないと思っています。小学校スポーツこそ、その背後にそびえたつ、親の存在が重要なのです。