第2534話・・・元監督・現教頭の視点(6)
2015年 11月 14日
私が教師になった22年前、「体罰は学校教育法で禁止」されていると言われてはいたが、見えないところで体罰はありました。忘れ物をするとゲンコツなどはまだあったように記憶しています。
中学校の生徒指導担当の先生に会うと、「体罰は必要だ」というような論調も根強く残っていました。もちろん、部活と言ったら、暗黙の了解で体罰OKみたいな感じでした。バレー部の先生は、「女子バレーはいかに生徒をいじめるかだ」などと声高に言っていたのを覚えています。
あれから、20年、学校現場では体罰は一切なくなったと言っても過言ではありません。もし、ゲンコツをしても、新聞に掲載され、戒告・減給などの処分が科されます。それでは、学校現場で、どのような研修をしているかについてお話します。
①体罰と暴言の定義
②法的根拠
③実際の処分内容
四月当初にこのような研修を管理職がします。
④一人一標語
「手が出そうになったらぐっと深呼吸」などと
自分の標語を作成して職員室に掲示します。
⑤体罰によらない指導法の研修
⑥感情コントロール演習 など
このように一例を紹介したましたが、様々な角度からアプローチしています。
それに加えて、保護者による
「体罰アンケート」の実施です。
これは、自校の管理職も見ることができないようになっていて教育委員会が全て集約します。
このような複数の目でチェックしているのです。
例えば、実績のあるベテランの先生が、バチーンとやったとします。すぐに同僚が止めるか、管理職への報告があります。体罰が明るみに出たら、学校がどれだけ被害を受けるか、そこから信頼回復するためにどれだけの長い時間と労力がかかるのかをみんな知っています。だから、「見て見ぬふり」は、学校現場ではなくなりました。
さて、体罰が今なお残るバレー界、「体罰禁止」と上がいかに声高に叫んでも、体罰をなくするための優れたシステムが構築されていなければ限界があります。
体罰・暴言をなくするためには、そのための優れたシステムと制度を構築していかなければなりません。
協会の上の方々も一生懸命にやってくれています。しかし、ボトムアップ的な活動を立ち上げていかなければいけません。
例えば、クラブ員を募集するときの案内に「うちのチームは、ノー体罰+暴言」を守りますみたいなコンプライアンス遵守宣言みたいなものを入れるとか・・・・。
練習試合をする時に、最初に指導者で集まって「暴力・暴言はやめよう」と確認したり、試合の前の講話で、選手と保護者に「今日、集まった指導者たちは、暴言と暴力をしない指導で皆さんにバレーを教えます」みたいなことをやったら効果があるのではないでしょうか。
地区の中で、そんなグループを立ち上げていく、そして、そこに草野先生を呼んで、さらに学習を深めていく・・・。ネットワークが広がると思います。
もちろん、ものすごい抵抗勢力にあうと思いますが・・・・。
大丈夫です。世論という強い味方が皆さんを応援してくれます。
*補足
うちの学校の職員室には、体罰と交通安全の一人一標語が
飾ってあります。ちょっと紹介します。
「やばいと思ったらまずは、
子どもに近寄らないで距離を保て」
みんな、それぞれ工夫しています。
バレーの指導者も体育館に
標語を掲示するとかなりの抑止力と
保護者への宣伝になると思います。