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by kusanokenji
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第2099話・・・立派な指導者

勝たせるだけが立派な指導者ではない。
その学校を去って何を残したか、
中学校部活動に置ける
立派な指導者の尺度だと考えている


世間の常識は、「勝たせる指導者=立派な指導者」?
しかし、義務教育における部活指導者は?
そもそも義務教育とは
子供は教育を受けなければいけない義務がある、のではなく
大人は子供に教育を受けさせなければいけない義務がある、と
考えるのが本筋ではないか。つまり、子供は教育を受ける権利があり
大人は、供に教育を受けさせる義務がある、と考えるのが自然な考えだと思う。
部活動における勝利至上主義はもはや世間の流れから大きく外れてきた。
「勝たせる指導者が名将」という考えもそろそろ卒業すべきではないだろうか。

ここに、一人の平凡な小学校の教師がいる。
彼は三年前まで中学校男子バレーボール顧問。
全員初心者の男子生徒を、東海大会に出場させ、女子部も一緒に指導していた。
熱く語るのではなく、クールにさりげなく人間学を語りながら、
人としての大切さを説く指導法で子供の心をつかむだけでなく
保護者の心までわしづかみしていった。
しかし、三年前の人事異動で小学校に勤務することになった。
小学校時代から彼を慕っていた子供たちが、彼と入れ替わりに入学してきた。
チームは指導者を失ったが、彼の指導を受けていた新二年生、三年生が
チームを守った。先輩が後輩を面倒見るチームになった。
そして保護者も協力を惜しまなかった。
そのとき入学してきた子供たちが今の三年生。
「修行少年・少女」たちでる。
指導者が去っても、その考え方がしっかり根づいたお陰でここまでやってこれた。
これぞまさしく、中学校で求めている部活動のあるべき姿ではないか、
と自分は思うのである。
その彼たち、彼女たちが、週末の滋賀でのバレー塾に参加してくれた。
みんなで琵琶湖湖畔の宿舎に泊まった。保護者も泊まってくれた。
僕は彼たちと一緒にお風呂にも入った。
僕は、強いチームより、こういうチームが好きだ!
写真は、楽しい朝食!
第2099話・・・立派な指導者_c0000970_14394141.jpg


【バレーだけではない!】
昼に、宿舎のご主人から「子供たちは布団を使わなかったようですが布団のある場所がわからなかったら大変申し訳ありません」と主催者の沖本先生に電話が入った。先生はすぐに子供に「布団は使わなかったの?」と聞いたら「いいえ、ちゃんと使いましたよ」とのこと。そのことを宿のご主人に伝えたら、「エッ、そうですか、あまりにもきれいに、きちんとたたんであったので、てっきり使わなかったと思いました。いまどき珍しい中学生ですね」とご主人がえらく感心しておられたとのこと。誰も大人は指示しない。すべてが「俺たちの道・・・・修行」を実戦する彼たちに頭が下がる。まさしく「自主性」の姿である。親も子供の成長の邪魔をするような馬鹿な口出しや過保護な言動はしない。体育館の中での頑張りは誠心誠意、ぶっ倒れるまで頑張る。それに刺激を受けて他のチームまで頑張り出すのはいつもの光景。ちなみに、彼たちは、こうしてバレー塾に参加するときはすべて、自分達だけで電車移動だ。これも公共機関でのマナー教育や、自立への支援教育の一環として先輩から受け継いだもの。ともすれば部活の悪しき慣習を「伝統」として受け継ぐ部活が多い中、素晴らしい出来事ではないでしょうか。自力で行動する習慣をつけるのが目的ですから保護者は常に4〜5台の車で参加されて、毎回子供と一緒に受講される。子供が兄弟でいるので、6年も参加されている親もいる。今回も子供たちは行きも帰りも岐阜から滋賀まで、自分達だけで電車移動。とにかく素晴らしいのは、全部自分達で考えて行動する事だ。その姿に大人は協力していく・・・・けして親が前に出ない。宿舎での食事も保護者はいっさい手を出さない。これも自然な行動だ。強化練習会が終わる頃には、子供も保護者も目に涙を浮かべて、こちらも、うるっ!
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by kusanokenji | 2013-07-08 14:26 | ■連載“日々努力”