第1865話・・・手放す
2012年 07月 05日
「できるものならこの子の命と変わってあげたい」
親の切実な願いもむなしく子供は亡くなった。
命より大切な子供の命を亡くした親の悲しみは深い。
一年後、悲しみのどん底にあったその親は
透き通った表情で日々を暮らせるようになっていた。
どんな変化が?
彼女曰く
「私は生まれつき意地っ張りで、負けん気が強く、強情で我慢の強い女でした。
人にバカにされたくない一心で、いつも外見ばかり気にしていました。
これでは悪い女だ、心の狭い女だ、直さないといけないと思っても
生まれつきのこの強情な性質はなかなか取れませんでした。
ところが子供の病状が重くなったとき
『この子だけは手放せない、私の命でよかったら身代わりに差し上げます』
とまですがった子供が逝ってしまったのです。
一番大切なものを奪われたとき、どうすることもできないことを知りました。
天命が下ったら人間の勝手な願いなど相手にしてくれませんでした。
天命はあまりにも大きな力、どうすることもできない絶対の力であることを知りました。
私の好き嫌いなど無視です。
天命が降りたら、一切が無力になります。
私のちっぽけな好き嫌いなど相手にしてくれません。
それから
自分の命に変えてでも手放しくなかったものをでも手放さなくてはいけないのなら
他のものはなんでも手放せると、思うことができるようになりました。
『大事な子供と別れたことを考えたら・・・・』
そう思うと、これまでのつまらない片意地がとれるようになりました。
あれだけ人のことが気になったり、負けるのが嫌いだったのに
そんなことなどちっぽけでどうでもよくなりました。
外見や虚栄心を張った我儘の心も素直に放せるようになりました。
すらすらと世の中のことを明るく考えられるようになりました。
これもすべて子供が私に残してくれたものです。
私は子どものお蔭で人間が変わることができました。
あの子は、命に代えて私を変えてくれたのです。
一番大切なものを手放してしまって
私は変わりました。
そういう内容の本でした。
これを読んだとき、なぜか涙が出てきました。
よくわかるからです。
人はだれでも意地っ張りな心がありますからね。
ところがそんなものはどうでもよくなる。
あくせくしていた自分はなんだったの?
そう思えるときがくる。
とても共感できたのです。
不要な執着心(邪心)を取り除いてくれます。
今日も
感謝しながら
いつもと同じく
心軽やかに
子供たちの喜ぶ姿をイメージしながら
創作活動に励みたいと思います。