第1739話・・・克己心(こっきしん)
2011年 10月 21日
知っている人は知っている、ご存じのフレーズ。
「あなたは、あなたの指導者から何を教えてもらったのですか?」
この質問にどう答えるか興味のあるところ。
「決めろ!」と言われ続けられた。
「あげろ!」と言われ続けられた。
「そう言われれば何も教えてもらってない」
かっての自分と同じような回答を生徒・選手に言わせてはいけない。
そういう意識を忘れずに子供と向き合いたいものである。
昨日のトップレベル教室。
体育館についたら例のごとく2011ウオーミングアップをしていたが
どうもパアーッとしない。いわゆる「ダラダラ」である。
「はい、集合!」と集める。
「きみらは『こっきしん』って知ってるか?」から始まった。
「しらない」との返事。中には「国旗の心」と書くのですかとも(笑)。
「じゃ今から知れ、すぐ調べろ!」と応酬。
さーっと散る子供たち。
携帯で調べたり、親に聞いたり、指導者に聞いたり・・・。
結局、自分の心の中の「良い心が悪い心に勝つこと」
に到達するまで30分の時間を費やした。練習よりも大事だと判断してのこと。
今日、このタイミングを逸しては心の教育はできないと思ってのこと。
最初は「自分の欲望を抑える心」「自分の弱い心に負けない」
「悪い心をやっつけること」「邪念に勝つこと」などと言ってきた。
「それは辞書の答えやろ、じゃあ、自分の欲望ってなに?悪い心って何?」
また散って調べたり相談したり・・・・そんなやり取りを繰り返す。
「だらだら喋りながらウオーミングアップしていた」
「黙々コツコツやっていなかった」
「弱い自分に負けていた」
「さぼりたい自分が勝っていた」と次々と言ってくれる子供たち。
「そうやな、自分の良い心が負けていたな・・・・」
とこんなやりとりの30分。
いい時間やった。
小学1年生の脳の中にも「克己心」がインプットされた時間やと実感した。
◆きみらが強い高校でバレーするとするわな。殴る蹴るの厳しい指導を受けるとする。ガマンする。・・・しかしこれは本当の克己心と違うねん。外の力を借りてるやろ。自分の意志と違う。やらされているだけの話や。怒られないと頑張れない人間になってしまう。これが問題や。弱い自分と戦っていない。怖い指導者と戦っているだけや。怖い指導者がいないと自分で考えてできなくなる。克己心ってすごく大切やな。
◆家でお母さんに「勉強しなさい」「片付けなさい」と言われた時、「ムカつく!」と思うか、「注意してくれてありがとう」と思うか、どちらが克己心がありますか?すかさず「ありがとうです」と答えてくれる子供たち。いい雰囲気が伝わってくる。横向いている子供がいない。みんなが同じ方向を向いている空気を感じる。教育の手応えを感じる。
「ムカつく」のは良い心ではないな。「ありがとう」と言えたらそれが克己心やな。そう思えたら「ヤッター!!」と心の中で思えばええ。小学生でこれが出来たらすごいぞ! (ちなみに参加者全員「克己心」という言葉を知らなかった。勿論中学生も。これが今の教育?って思ったけど)あんな、パナソニックという会社、知ってるやろ。そうや、テレビとか作っている会社や。そこの最初の社長さんの松下幸之助さんという人はな、「松下は何を作っている会社ですか?」と聞かれたら「物をつくる前に人をつくる会社です」と教えていたんやで。では「あなた達はバレーボールを通じて何を学んだのですか?」と聞かれたら何て答える?(すぐ「人間学を学んでます」と即答が出る。)そうやな「バレーを通じて自分の生き方を学んでいます」と答えれるようにしたいな・・・。
そんなことを子供たちと一緒に勉強しました。
「克己心」
知識だけで終わらせるのでなく、目の前の小さな出来事の中で実践。
知識だけでは「運動会の借り物競争」と同じ。
心と脳にインプットして、自分のものにしてもらう。
指導って、このプロセスがおもしろい。
奥が深い。
無垢な子供の心が消えていないこの間にすることはいっぱいある。
心に届く指導を心掛けたい。