人気ブログランキング | 話題のタグを見る
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

第1475話・・・隠れているものを引き出す

中学・高校男子の県内トップ選手たちと2日間過ごした。
バレー塾に参加してくれたのである。

海外から見た日本の中学・高校のバレースタイルの評価の共通項目は
「機械的」「無表情」「規律」「ロボット化」「押さえつけ」・・・・・などと耳にして久しいが
その中での彼たちの印象はそれとは無縁?のスタイル!!
悪く言えばボ~ッ、放任、バラバラ、不真面目、ええかげん・・・・・
よく言えば自由闊達、伸び伸び、マイペース、個人主義・・・・・・

彼らの態度に少々ムッとしたのも事実。
彼達を大人として見てはいけない、と自分を戒めてのスタート。
「なんとかして、小中学生の憧れと模範の対象にしなければ・・・・」と使命感がちらついた。

彼達の目の前の行動スタイルの中から、ここに至るプロセスを、素早く推察し、
そして全部受け入れながら・・・・最終的にどこに着地点を求めるか。
一瞬にして駆け巡る思考回路が落ち着くのに時間はかからなかった。
一日目のテーマは「技術だけうまくなってもダメ。心の成長も同時進行しなければいけない」
二日目のテーマは「自信よりも自覚を!」・・・自信は小学生でももてるが、自覚は大人でも難しい。

二日目、表情が昨日とは違うことを確認。
もう一手を打たねば・・・とワクワクしてきた。
午後、彼達の意外な面が発揮された。
小中学生の面倒を見てもらう時間を設定したときのことだ。
子供たちを8人の小グループに分けて、各グループを高校生に面倒見てもらうことにした。
最初はサーブレシーブ。
昨日やったドリル子供に伝えている表情がいい。
子どもたちが動きだした。
小中学生にしたら憧れのお兄ちゃんたちである。
そのお兄ちゃんたちが教えてくれる。
さっき、目の前で模範演技してくれた高校生の憧れのお兄ちゃんが
手取り足取り、ゼスチャーを交えて教えてくれる。

途中、タイムをかけた。
「グループでミーティングしてください」と声をかけた。
すかさず小学生から「ミーティングって何ですか?」と質問が来た。
「みんなで話し合うことだよ。もっと声を出そうとかね」
300人が35組くらいの小グループに分かれてミーティングが始まった。
これもまたいい光景である。
そのあと、けたたましい声が館内にこだました。
「ハイタッチしようか」と声をかけた。
みんながハイタッチしだした。
いい関係が生まれた。
会場内がとても温かい、濃密なコミュニケーションの場に化した。
休憩時間になっても小学生達がお兄ちゃんにまとわりつきだした。
今回のバレー塾を企画担当した県の担当者は
「強化のヒントが足元にあった!」と喜ばれた。
「県民から応援されるチームづくり」・・・その原型がここにあった。

最後の閉講式の全体好評の挨拶で
「今まで根っこに隠されていた高校生の才能を見た思いです。
本当の才能は隠れていたんですね。それが見えて嬉しく思いました。ありがとう。」
と挨拶した。なにかいいことをしたような気分でバレー塾を終えた気分になり
そして、「人間は一瞬にして変われる時がある」という事例の話を紹介した。
観客席の保護者も含め会場内がいい雰囲気で終わった・・・・・。

ところがである。
帰り際、あれ?という光景を目にした。
ある中学校の監督がロビーの片隅で子供たちを床に座らせ、
きつく、鬼のような顔して仁王立ちし、腕を組みながら説教し始めたではないか。
「あんな態度にも程がある・・・」・・・そんな言葉が耳に入った。
何を?なぜ?・・・・・
水をさされた思いになった。
これからみんな家に帰ってようやく自分の時間を過ごせるのに何をそんなに
イヤな思いにさせるの?
そういう指導者ほど、挨拶もできない指導者である。
子供の教育より指導者の教育が大事なのか、とまたガックリ。
by kusanokenji | 2010-09-13 07:42 | ■連載“日々努力”