第615話・・・久々に安岡正篤
2007年 04月 08日
『人間の第一義は、何を為すかということではなくて、何であるかということである。
もっと平たく言いますと、例えばつまらぬ人間でも、財産・地位ができてきたというと、すぐ調子に乗っては自分が偉いと思うものでありますが、こんなものはけして偉くもなければ、価値のあるものでもない。むしろ世の中には、地位や金を作るためにあられもない汚いことや、ずるいことをやる者がありまして、だから昔から「金持ちと灰皿はたまるほど汚い」と言うのであります。地位などもそうで、つまらぬ競争をしたり、人を押しのけたり、おとしいれたり、いろいろなことをして出世する場合が多い。したがって地位だとか、財産だとかいうようなものは案外どんなものかわかりません。もちろんづるいことをやったり、人を押しのけたりして、地位や財産を創るのも人間の能力、知能のひとつです。それをつかっていろいろなことができる。できるけれども、そんなことができても、これは人間として少しも偉いことではない。社会的には偉いかもしれないが人間としてはむしろ恥ずべきことであります。何をしたかということと、彼はどういう人間か、いかにあるか、ということは別である。』・・・・まあ、こんな内容で楽しくて楽しくて飛行機の中の2時間があっという間に過ぎました。本の裏側に「昭和62年10月18日」と購入の日付けが記されていました。購入してもなかなか読まないことは往々にしてあるものですが、読めれて良かったです。