第2654話・・・元監督・元教頭の視点(62)
2016年 10月 13日
昔こんなことがありました。OBが高校生になって飲酒をして停学になることがありました。狭い町ですので、すぐに噂になりました。そしたら、その親が娘を連れて、私のところに謝りに来ました。「バレーの卒業生として恥ずかしい。後輩たちに迷惑をかけたと」。その高校生は私の前の監督さんの選手で、私とは面識もありませんでした。けど、前の監督さんは、OBとして絶対に恥ずかしくない生き方をしろと徹底して教えこんでいたので、その子も親もこうして謝りに来たということでした。というか、私は娘を連れてきたその親の姿勢にとても感心しました。
チームを離れても、その生き方は後輩たちが、親たちが、地域の人が見ている。そんなことの大切さを私の前の監督さんから学ばせていただきました。
卒業してもしっかりと心に残る指導の大切さ
あと、もう一つ話を。これは高校の就職担当の先生から聞いた話です。強豪高校には、バレーが上手な選手が当然集まります。現役を引退し、卒業シーズンになるとすると、三つのタイプにわかれます。会社からあなたのような人材は必要だからぜひうちに来てほしいと言われるタイプ、再就職を紹介してもらえるタイプ、バレー以外は使えないということで、再就職なども紹介してもらえないタイプです。
私は自然体バレーに出会って、理想とする女性像のようなものが何となくできあがり指導していました。
○明るく一生懸命な印象
○芯が強く苦況にもめげることがない
○自分の立場をわきまえ、相手の立場、相手の気持ちをよく考えている
○「・・・してあげる」ではなく「・・・させていただく」という気持ちが言動の中ににじんでいる。
○人の話を聞くときの目がいい
○あいまいで、いい加減な話をしない
○清潔感のある身だしなみは派手にはならず、かといってセンスは悪くない
草野先生の実業団時代の話から、こんな選手像を追い求めていました。
バレーの技術を身につけさせるだけでなく、選手が今後の人生を幸せに生きるための教育・・・。こんなことを学ばせていただきました。
勝って崩れるパターンは、人間教育がされていないことがほとんどです。そして、それは指導者の姿勢にも問題があります。
勝って不祥事を起こすという最悪なシナリオがいつまでたってもなくならないこの世界。私たち指導者の姿勢が今こそ問われていると思うのです。