第2599話・・・元監督・現教頭の視点(37)
2016年 04月 04日
【想像力の必要性】
四月ですね。転勤や就職、進学など新しい場面が始まりますね。
部活やチームについても同じです。新しいメンバー加入、新しい指導者の誕生・・・不安もあるけれどワクワクしている。そんな思いの人たちが多いのが四月の始めですね。
さて、今日お話したいのは、指導者には「想像力」が必要なのではないかということと、この想像力が指導者や選手のメンタルヘルスに効果的だと思うからです。
勝てなかった頃、私は毎日、体育館という閉鎖的な空間で練習に明け暮れていました。春休みもそうです。入学式などで体育館が使えないと、違う体育館を借りたり、廊下で練習したりしていました。けど、体育館をベースにした指導をしていたころは、結果も子どもたちの雰囲気や表情もあまり期待したほど上がっていなかったと思います。
ある時、草野先生の実業時代の写真を見る機会がありました。川沿いをランニングする姿、土手でミーティングをしている様子、その時の草野先生と選手たちの表情がとても生き生きとしていたのです。私のチームにはない雰囲気でした。
そして、練習場所を「外」という空間に向けるという視点も私にはありませんでした。そこから、少しずつ、体育館にとらわれない練習空間を考えるようになりました。
・外のグラウンドでのアップ
・海までランニングして、みんなで合唱
・公園の鉄棒などを使ったトレーニング
・近所の打ちっぱなしのゴルフ場に頼んでボール拾い
・晴れた日の外でのレセプション練習
・昼食は、みんなで桜の木の下で食べる
・メンタル強化のため、国道で交通安全の手紙を配る
・練習前の五分間読書
思いつくままに書いてみましたが、こんなことをやっていました。というか、もしかしたら、草野先生もこんなことを考えるのではないだろうか・・・。そんなことを想像しながら練習メニューを組んでいました。
今思うと、チームの戦績に直接的な影響があったかどうかはわかりません。しかし、体育館というと閉鎖的な空間にこもっていた時よりも、練習への集中力、質の高い練習ができていたことは間違いありません。また、チーム内の雰囲気も明るく、生き生きとしたものになっていきました。
2007年に行われた自然体バレーの講習会で、草野先生からチームを絶賛していただいたときは、まさにこういった想像力が全盛の時で、いろんなことをやっていた時期だったと記憶しています。
私は、草野先生の言葉、写真などから、勝手に自分なりに想像力を膨らませて、自分なりのアプローチを試みていました。そして、この想像力こそ、指導者にとっては、一番の生命線になるかもしれません。
自然体バレーの練習メニューは、まさに既存のバレー界にはなかった新しいスタイルです。草野先生が我々の手の届かないものを持っているとしたら、私は「想像力」という一語をあげると思います。