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by kusanokenji
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第2572話・・・元監督・現教頭の視点(24)

【引きこもりの支援から学ぶこと】

身内から「ひきこもり」状態に陥る子が出た。大学を卒業しても就職せず、実家に戻り、働かない・何もしない状態が10年続いた。身内の中でもいつからか彼の話題はタブーになりました。


 4年前、私の父が他界した。父は孫にあたる彼のことだけが心配だと口々に言っていました。「あんなに優秀だったのに・・・」


 父の葬儀の夜、私はタブーとしていた話題に触れました。

両親にこれから彼をどのようにするのか? 尋ねました。


 「いつか親子で一緒に自殺でもしようと思っている」


 と、とんでもない答えが返ってきました。しかし、それだけ、両親はギリギリのところまで追い込まれて病んでいたのです。当事者の家族だけでは解決できないので私に彼を任せてくれるように頼んでみました。親はその申し出を受けてくれました。


 当時のチームの親で農家の方がおりました。

私はその方にお願いして農作業の手伝いとして雇ってもらいました。


 あれから5年・・・。農作業を1年手伝い、社会復帰できるようになったと判断した農家のお父さんは、彼を知り合いの介護施設に紹介して、今度は雇ってもらいました。そして、彼はその介護施設で就職して4年目を迎えています。資格をとるための勉強もしています。ひきこもりから劇的に人生を変えました。


 さて、そんなひきこもり状態の彼を何とかしようと思った時、自分がとった行動は、ひきこもりの家族会に入ったことでした。その家族会は、精神医や精神保健福祉士がサポートしている団体です。


 全く未知なる世界に入った時のあの緊張感、そこには、ひきこもりの当事者とその家族が集まっていました。会が始まると、それぞれが近況や悩みを報告し、それに対して精神科医がアドバイスするというシンプルな形式です。


 ある父親が近況報告しました。内容が

・息子は一流国立大学卒業

・就職したが人間関係のストレスから退社

・そのあと15年ほどひきこもり状態

・最近は、精神疾患と認定されることで国の補助を受けられること

 を知り、ネットや書物で情報を集め、自分でその申請をしようと準備している。


こんな話を聞いていると、私はなんだか、だんだんと腹が立ってきました。

・最初から楽をしようとしている・・・・

・国の制度をうまく利用して生活しようとするずる賢い知恵


 本人と出会ったら「甘えてんじゃねえぞ」と怒鳴りたくなります。

もちろん父親も「きちんと働け」と叱り、いつもケンカになると言っていました。


 しかし、私は、この後に言った精神科のドクターの話に衝撃を受けました。


 「自分で調べて自分の生活を何とかしようとしている」

 「親とケンカするだけのパワーをもっているなんてすごい」


 私ならこんな言葉をかけますね。と言いました。私には全くなかった視点に愕然としました。やはり、専門家の視点とスキルの深さを再認識させられました。


 その後、そのドクターの元を訪れた息子さんは、何と病院の清掃のパートをしながら、国の制度を利用しています。すごい成長です。


 「うちの親は偽装離婚して生活保護もらっている親だから。だから、俺なんかもダメな人間になっていくんだよ」


 こんな言葉を言う子がいたときに、何と言葉を返すでしょうか?


 私だったら「そうか」で終わってしまうと思います。


「偽装離婚して生活保護を受けることがいけないということはわかっているみたいだね。さて、君は自分の人生をどんな人生にしていく?」


 カウンセラーなどの人たちの切り返しの深さからもたくさん勉強させていただきました。


 さて、ここからがバレー指導とのかかわりです。

 

 指導者には「重みのある一言」が求められていると思います。草野先生は、「話が長い」指導者はダメだとおっしゃいます。それは、言葉をただ並べただけで、全く相手には届いていないからです。


 ◆相手の心に伝わる重みのある一言


 そんな一言という武器を持てば、苦しい試合のタイムで、劇的に選手の意識レベルを変えることができるかもしれません。まさにタイムアウトが「30秒のマジック」といえるものになります。

 私は「重みのある一言」を発せられるようになりたいと思い、指導者の後半を過ごしてきました。そして、そんな一言を発せられるようになるためには、バレー以外の人的・物的財産から学ぶ必要性を感じました。


 ですから、今、皆さんが勉強しているアドラー心理学もすばらしい指導の土台をつくってくれるものになりますし、何よりもバレーを見る視点が他の指導者と変わってきます。


 私は身内がひきこもりが立ち直ったあとも、ひきこもりの会に所属して勉強させていただいています。指導者としての最後のあたりは、「心を病んでいる人」たちへの接し方と言葉掛けを学んだことでバレー指導へと役立てることができました。


 また、私は退職までの残り12年間の管理職生活を

「ひきこもり」「不登校支援」を継続して行っていきたいと思い、勉強しています


 バレーとは違った山を登ることで、また、バレーの山がいろいろなものに見えてきます。そして、また、いつかバレーの山を登って指導する日もつくりたいと思っています。


 私が自然体バレーを自分の人生の中心軸にしている理由・・・、それは、バレー以外のこともたくさん学べる場だからです。バレーを学びながら、アドラー心理学も学べる・・・、他じゃ絶対にあり得ない学びの場です。大切にしていきたいと思います。







 



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by kusanokenji | 2016-01-15 16:22 | ■連載“日々努力”