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by kusanokenji
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第2544話・・・元監督・現教頭の視点(13)

【人生、苦しいい時が登り坂】

 草野先生の今年のブログで「勝ちたいんや」という動画もアップされている記事がありました。私は四月から環境が大きく変わりました。新しい役職だけでなく,単身赴任にもなり、久しぶりに劇的な環境の変化から何だか不安な日々を過ごしていました。その時に、毎朝、チェックする草野先生のブログであの動画を見たのです。


 ボールに食らいつく執念、絶対に負けたくないという選手たちの闘志、動画からも伝わってくる独特の緊張感、若かりし頃の草野先生の雄姿、どれもが私に勇気を与えてくれるものでした。見ているだけで、何だか涙があふれてくる動画でした。


 そんな動画を見て、私もかつての教え子たちのことが脳裏に浮かびました。


<当時のお便りより> 

 決勝トーナメント一回戦の○○戦。私の監督生活の中でもNo1の大逆転の試合でした。まさに「ミラクル」と呼ぶにふさわしい試合。どのセットも前半に大量リードを許す試合。特に3セット目は、1-10という絶体絶命の試合をひっくり返しました。ベンチで見ていて、「どうしてこの子たちはこんな試合ができるのだろう」と考えていました。 


朝の抽選で○○が最高のクジを引きました。「よし、行ける」と思いましたが、私は選手の表情を見て、「危ない」と思いました。「おびえている」のです。うーん、ここに来てこの弱気は・・・。案の定、試合が始まると明らかにうちのチームに前日に見せたような勢いがありません。反対に○○は、優勝候補をやっつけてやろうと向かってきています。加えて、一回戦もフルセットで勝利しています。明らかに「勢い」がありました。

長く勝負にかかわっていると、「負けるな」と勘が働くことがあります。今回は、まさしく、「ここで終わりだな」と私も悟りました。あとは、試合が終わるのをベンチで見守るだけ。今回もそんな感じでした。


しかし、しかし、しかし・・・。私の勝負勘は外れました。何と何と試合をひっくりかえしたのです。そうですね。野球に例えると、9回裏1-10、ワンアウトランナーなしの場面からというところでしょうか。99%負ける試合です。ミラクルを通り越して、神がかり的なものを感じました。

どうしてこんなドラマが生まれたのでしょうか


私はこの子どもたちの「生き方」がコートに出たと思っています。朝、学校に来たら毎日サーブの自主練習、合宿などではどのチームよりも早く起きて練習する姿勢、正月返上の練習、どのチームよりも真面目にバレーに取り組んできました。そして、コートの外でも徹底的に真面目に生きることを心がけてきました。学校生活、仲間を思いやる気持ち、チームを大切にする気持ちなどです。


「コートの中に生活あり。コートの外に勝負あり。

最大の敵は自分なり」


 バレー界では古くから使われてきた言葉です。けど、最後の追い詰められた場面で生き方が出るものなのですね。この子たちの試合を見て感じました。バレーボールとはまさに人生の縮図なのです。


 ○○に勝って■■から最初1セットを奪い、ミラクルの再現かと思いましたが、ここで私たちのバレーは幕を閉じました。ただ、この敗戦は、実力差です。バレーの質で負けた敗戦です。


 田舎の小さな小さな学校の子どもたちのNo1を目指す戦いは終わりを告げました。けど、私の中では記録よりも記憶に残るNo1のチームでした。あと、敗戦の夜、女房からメールが来ました。


 残念だったけど、パパの監督生活の一区切りになりましたね。今まで人一倍たくさん練習してきて本当にお疲れ様でした。少しは元気が出ましたか?子どもたちやお母さん方も少しは元気になりましたか?本当に1番になることって大変なんですね。でもパパやバレー部の子どもたちのがんばりのおかげで、私も○○(娘)も、お母さん方も、ここまでいろんな所に来れたんだよね。本当にありがとうです。私もさっき体育館では何ともいえない気持ちになったけど、帰りのバスの中でいろいろ考えさせられました。家に帰ってきてからも毎日毎日、バレーのDVDを夜遅くまで見て研究していました。全国に、数えられないぐらいバレーの勉強に行っていましたね。あと、いつもチームの子どものことを思っていましたね。夜中に神社によくお参りに行っていましたね。本気で全国を目指すようになってからは、大好きなギャンブルをやらなくなりました。その代わり、墓参りとか、似合わないようなことをするようになりました。本気で○○の1番になる努力をしていたことは家族が何よりも知っています。けど、試合に負けたり、子どもや親に裏切られたりして、傷ついているのも見ていました。だからこそ、今は「一休み」してください。そして、少し休んだら、パパが最近言う、「今までとは違った指導スタイル」でバレーを楽しんでください。けど、パパのつくるチームは見ている人に感動を与えてくれます。素人の私が見ていてもそう思います。特に、今日のチームの子どもたちはすごかったです。知らない人が見ていても感動すると思います。


 こんなメールをもらいました。確かにてっぺんには立つことはできませんでした。けど、好感度満点のすばらしいチームだったと言えます。△△の日記に、「知らない人が私たちの試合を見て感動したと話しかけてくれました」と書いてありました。バレーボールの試合には負けましたが、私たちはそれよりも大切なことを手に入れたのだと思います。

 こんなチームを創りあげることができたことを幸せに思っています。ありがとうございました。

 最後にこれがラストシーンではありません。人生の通過点です。だから、これからも今まで通り、真面目に「心一つバレー」をしていきましょう。まだまだ人生はこれからです。





 確かにバレー指導は、悩みと苦労の連続です。けど、私は指導している中で、ものすごい感動を経験することができました。子どもたちの姿に勇気をたくさんもらいました。


 草野先生の日本一になったあのチームは、夏の合宿で40連敗をしたチームだと聞きました。そのチームが勝ったのです。そして、草野先生が最後にインタビューに答えている言葉も忘れられません。今と言っていることがズレていません。当時から自然体の土台がしっかりとできあがっていたのです。


 指導者の皆さん、指導は確かに辛いことが多いです。けど、大きな苦労をしなければ、感動は得られません。何事もたやすく手に入れることはできないのだと思います。それはバレーだけでなく、人生もそうだと思います。


 今、大変な思いをしている指導者の皆さん、苦労の先の成功を見つめて、お互いにがんばりましょう!


 そして、どうしても辛い時は、草野先生の「勝ちたいんや」の動画を見てください。きっと、みなさんの心に無言のメッセージを届けてくれます。


        「苦しい時が上り坂」






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by kusanokenji | 2015-12-03 09:55 | ■連載“日々努力”