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by kusanokenji
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第2241話・・・指導者の役割1

<指導者の三つの役割> 

1、時代を読む

松下幸之助は、ランプの時代にあって「もうすぐ電気の時代が来る」と読み切り、二股ソケットで大成功を収めた。新時代の到来を読めず、いつまでもランプの時代は続くと思って石油を売ることにこだわった店が倒産の憂き目にあったのは言うまでもない。

 翻って、スポーツの世界を考えてみるに、いつまでも昔の実績を携え「スポ根」にこだわる指導者ほど若い選手の気質を読めずに指導に行き詰る傾向は今がピークと言えよう。相変わらず体罰や暴言に頼っているとそのうち指導の舞台から去らねばならぬ事態になりかねない。50年スパンで近年を振り返っても高度成長世代、バブル世代、ゆとり世代と刻々変化している。自分を変えることができずに、時代の変化についていけないことを「我々の時はこうやった」と言い訳しているようでは自分で自分の首を絞めていることにならないか。世は、子育ても男女参画の方向に進んでいる。これは国の方針であることを知ることだ。そのうち男性の育児休暇取得者が増えるのも時間の問題だ。キャリアウーマンも当たり前でもはや大企業も女性管理職抜擢は常識の時代を迎えている。夫の上司が妻なんて当たり前の時代に突入するだろう。離婚ひとつとっても、ひと昔前までは世間体が悪いと言われたものであるが最近は殆ど気にする人はいなくなった。時代は確実に変わってきているのである。例えば「学校区」もその一つだ。「選択制」に変わりつつある。小学生チーム登録も校区で区切るのでなく柔軟な対応が必要になってきそうだ。いつまでも古い価値観にこだわっていては井の中の蛙と同じである。時代を読む力がないととんでもない失態を産むだけである。

 

かくいう私の指導もどちらかと云えば昔風であった。「親から大切なお子さんを預かっている」、「選手の大切な青春(人生)を預かっている」が大きな柱であったが、もう一つは勝つことよりも「職場の人から可愛がってもらえるチームをつくる」を優先していたことである。そのために「叩かない、故障させない」は実行していたけれども同時に「男女交際禁止」「化粧禁止」などは当り前で、「スポーツマンたる者は爽やかなおしゃれでいこう!」ということで服装、髪型にいたるまで細かい規則があった。携帯がまだなじんでない時代、合宿所では家族以外の男性からの電話取り次ぎも断っていたくらいである。勿論、携帯電話の所有は禁止、合宿所は関係者以外男性禁止である。ある意味管理されていたが、それはそれで大切なお子さんを預かっている以上当然だと認識していた。

 

ところがこういうことがあった。ある日、合宿所の管理人をしている妻から「もう、そろそろ携帯電話解禁してあげたらどうですか」と提言があった。「なに!?」と言い掛けたがもう少し話を聞いてみた。「なんでや?」・・・と。「もう時代が違うのよ」と言った。「時代が違う?」とはどういうことか・・・思案しているところに、「ここまで我慢してきた選手はえらいと思うよ。信用してあげたらどう?」と言った。当時、世間では携帯電話がはやり出し、若い社員でも個人で持つのが当たり前になってきているようである。「女子バレーの選手だけ塀の中に閉じ込めていてはよくないでしょ」とまで言われた。それはそうである。選手を信じることのできない証が厳しい規則となっているだけかもしれないと思うことができた。規則を作って安心しているだけかもしれないと思った。それで、清水の舞台から飛び降りる気持ちでOKを出した。そうすると、選手たちは自分たちから「携帯電話使用のルール」を作ってくれた。歩きながら話をしない職場では使用しない・・・などなど。









by kusanokenji | 2014-04-11 11:02 | ■連載“日々努力”