第1296話・・・多くの監督が失敗すること
2010年 01月 07日
同じメンバーで練習していると、どうしても不満・不足が目に付く。
そこで、ついつい新人に期待してしまう。
苦労してスカウトしてきた選手ほど欲目で見てしまう傾向があるからだ。
そして先輩に冷たく、新人に手厚くして、結局は墓穴を掘ることになる。
かくして、またまた次なる新人を求めてしまうのである。
こういう失敗は弱いチームほど往々にして見受けられる。
指導者として厳しく戒めたほうがいい。
自分の指導者としての人を見る目のなさ、人脈のなさ、指導力のなさを
繰り返すのは、「過ちを改めざるこれを過ちという」のと同じだからである。
高校や大学、あるいは実業団で、先輩になるほど活き活きしているチームは強い。
ある複数の選手の話が印象深い。
「私たちはどちらかと言えば不器用なほうです。後輩達の方が実績もありバレーが上手い選手が多くいます。しかし、今度の監督は最上級生の私たちを使い続けてくれました。負けても「このチームはお前達のチームだからがんばれ!」と励まし続けてくれました。私たちは涙ができるくらい嬉しくなりました。この監督のためなら何だってできる。絶対勝ちたい。監督のために勝ちたいと思いました。何事も積極的にやりました。そこからチームがひうとつにまとまっていったように思います」と語ってくれた。そして彼女達は最終学年の時に見事全日本インカレで優勝した。
この話に限らず先輩が自分の持ち場をしっかりやれているチームは落ち着いている。
スポーツだけに限らず職場も同じだ。
上級生になるほど指導者を信頼しているのははた目に見ても気持ちがいいものだ。
逆に、上級生をこき下ろす指導者は信頼がおけない。
その教訓をイソップ物語が教えている。
「ヤギ飼いと野生のヤギ」の話(イソップ物語より)
自分が飼っているヤギの群れの中に野生のヤギが混ざっ ていることに気づいたヤギ飼いは、野生のヤギたちを、自分のヤギの群れと一緒に、囲いの中に入れておくことにしました。
翌日、雪が激しく降ったため、ヤギたちをいつもの牧草地へ連れて行くことができずに、やむなく、群れを囲いの中に留めておきました。
そして、彼は、自分のヤギには、飢え死にしない程度にしか餌を与えませんでしたが、野生のヤギたちを手なずけるために、新参者の野生のヤギに多くの餌を与えました。
翌日、ヤギ飼は、ヤギたちを牧草地へと連れて行きました。
ところが、野生のヤギたちは、一目散に山の奥へと逃げて行きました。
ヤギ飼いは、逃げて行くヤギたちに向かって、「吹雪の時にあんなに世話をしてやったのに逃げるとは、なんて恩知らずなんだ!」と叫びました。すると、一匹がクルリと振り向いて言いました。
「あなたは、長年慣れ親しんだヤギたちよりも、新参者の我々を大切にした。ということは、もし、我々の後に、また別の者がやってきたら、あなたは、同じように、新しい方を大切にするとわかったから逃げるんだよ。」