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by kusanokenji
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第1138話・・・道徳講話第8話

第8話・・・思い出を語る会
 この前ね、僕が昔教えた選手たちですが、君達のお母さんみたいな人たちが沢山集まりました。僕の奥さんの友達と僕の教え子達です。僕の奥さんが亡くなって、その1周忌にみんなが沢山集まってくれました。とっても有難かったです。もう、みんな40歳過ぎています。その中には僕より先輩の方もいます。そしていろいろ僕の奥さんの昔の思い出話やお互いの近況などを語り合いました。集まった人たちの中には日本一になった選手もいればエースもいます。レギュラー選手ではなかった人もいます。強い時代の選手もいれば弱い時代の選手など、選手時代はそれぞれです。そして引退してそれぞれの道を歩きます。学生から社会に出て、そこでまた実業団選手としてバレーボールを真剣にやり、そこから本当に一人立ちして、結婚して、子供を育てて、そして今があるのですね。バレー選手の時は叱ってくれる人、教えてくれる人、守ってくれる人がいますが引退すると一人で生きていかなければいけません。何もかも一人で責任もって生きなければいけません。20年、30年、いろいろな苦労を重ねて生きてきました。そしてその仲間が集いました。

 バレー部を引退して30年も経ってごらん。どんな話になるか。その時に出る話題は、あのときに日本一になったねとか、誰がレギュラーとか、そういう話は一切出て来ないんだよ。不思議だね。これ、君達があと20年、30年経ってから、最後の総体勝ったとか負けたとか誰一人言う人がいないということです。そんな結果はどうでもいいんですね。大切なのは別にあるのです。どんな話題かというたら「苦労したこと」「怒られた事」とかそういうことです。少ない人数で頑張ったなとか、一緒に苦労したこととか、そういう話題ばっかりなんです。ということは成績は記録として残るが、人の心にはあまり残らないのですね。人の心に残るのは苦労したことや、真剣に怒られたことなどが大半なようです。本気で叱ってもらえたことのありがたさみたいのものがあとで懐かしくなるのです。そういえば、引退してしばらくした選手と会話すると100%の選手が「職場の人と人生の話や心の話をすることはまずありません」と言います。とっても寂しく、また辛いようです。
 
 最初に話したでしょう。一番になることよりも、一番を目指して努力することが大事だよ、って。一番になることも悪いことではない、いいことだ、しかしもっと大事なのは一番目指していく中にあるんだよということなんですね。それが20年、30年経ってきたらはっきり出てくる。その時一緒に頑張った仲間がいる・・・これが嬉しいのですね。そして僕がさらに嬉しかったのは、当時エースやレギュラーとして活躍していた選手より、その時に裏方で、縁の下で働いていた子達が活き活きとしていること。これが凄い。物凄く目が輝いて話してくれるの。その姿がとてもうれしかった。ということはね、生きる力、元気で過ごす力、人と仲良く暮らす力が自然に身についているのね。ちょうど君達のお父さんお母さんの年代です。だから、君達にとってそういうことを教えてくれるのは今の中学校の先生です。
 あのね、小学校、中学校の時の先生はね、腹が立っても嫌いになっても、何があっても大事にしなさい、大事にしたほうがいいですよということです。なぜなら、小学校、中学校の先生は君達と利害関係がない師弟関係だからです。いくつになっても嬉しい事があれば一緒に喜んでくれ、悲しいことがあれば一緒に悲しんでくれる関係です。大人になれば利害が絡み、嫉妬や憎しみが出てくるものです。どうか中学校の先生を大事にしてください。本気になって叱ってくれる先生を大事にしてください。きっと大人になって幸せになれると思います。先生方にもお願いします。本気で叱ったりぶつかってあげてください。きっとこの子達の心の奥底に響くと思いますのでよろしくお願いします。30年後、40年後にも生徒の心に響くような教育をして欲しいと願っています。
by kusanokenji | 2009-06-24 08:29 | ■連載“日々努力”